なんだかとても 嬉しかったの。 は、 或る こっそり 会社に、 あなた見に行きました。その ことを、 あなた はなし 申した かしら用事のある 振りをして 応接室はいりひとりで、 つくづく あなた見ました。あの は、 とても 寒かった火の気無い広い 応接室に、 ぶるぶる 震え ながら 立ってあなた見ていました。あれは、 小さい と、 日当りいい 縁側でした。 縁側には、 誰も 坐っていないで、 白い 座蒲団 だけ一つ置かれていました。 黄色と、 だけでした。 見ている うちに、 は、 もっと ひどく立って 居られない くらい震えて来ました。この は、 でなければ、 わからないのだと 思いました真面目申し上げている のです から、 お 笑いになっては、いけません。 は、あの 見て から二、三日も、 からだ震えてなりませんでしたどうしてもあなたとこへ、 嫁に行かなければ、と 思いました蓮葉で、 からだ燃える ように 恥ずかしく 思いましたが、 お願いしましたは、 とてもいやをしました。 けれども、それは 覚悟していた でしたので、 あきらめ ずにこんど直接但馬さんに 返事いたしました但馬さんは 大声で、 えらい! と おっしゃって 立ち上り椅子躓いて 転びましたが、あの は、 但馬さんも、 ちっとも 笑いませんでしたそれからは、 あなたも、 よく 承知 でございますでは、 あなた評判は、 経つ につれていよいよ 悪くなる 一方でした。 あなたが、 瀬戸内海故郷 からにも 無断東京飛び出して来て 両親勿論親戚 ことごとくが、 あなた愛想づかしをしている お酒飲む 展覧会に、 いちど出品していない 左翼 らしいいう 美術学校卒業しているかどうか 怪しいいう 、その たくさんどこ調べて来るのか、 も、 さまざま事実言い聞かせて 叱りましたけれども但馬さんの 熱心とりなしで、 どうやら 見合い までには 漕ぎつけました千疋屋二階に、 一緒まいりましたあなたは、 思っていた とおりの、 かたでした。 ワイシャツ袖口清潔なのに、 感心いたしましたが、 紅茶持ち上げた 意地悪く からだ震えてスプーンかちゃかちゃ 鳴ってひどく 困りました帰って からは、 あなた悪口を、 一そう 強く 言っていました。 あなた煙草 ばかり 吸ってには、 ろくに はなしをして上げなかったのが、 何より、いけなかった ようでした。 人相悪い、と いう も、 しきりに 言っていました。 見込みがないと いう のですけれども は、 あなたところ行く に、 きめていました。 ひとつきすねてとうとう 勝ちました