同じ 時刻行って 先生見た。 そのにも また 同じ 繰り返したけれども 物をいい掛ける 機会も、 挨拶 場合も、 二人間に起らなかったその上 先生態度むしろ 非社交的 であった一定時刻超然として 来て また 超然帰って 行った周囲いくら 賑やかでも、 それにほとんど 注意を払う 様子見えなかった最初 いっしょ来た 西洋人その後 まるで 姿見せなかった先生いつでも 一人 であった

 或る 先生通り さっさと から 上がって来ていつも場所脱ぎ 棄てた 浴衣着ようとすると、 どうした訳か、その 浴衣いっぱい 着いていた。 先生はそれを 落す ために後ろ向きになって浴衣二、三度 振ったすると 着物置いてあった 眼鏡隙間 から 落ちた先生白絣兵児帯締めて から眼鏡失くなったのに 気が付いた急に そこいら探し始めたすぐ 腰掛突っ込んで 眼鏡拾い出した先生有難ういって、それを から 受け取った

  先生つづいて 飛び込んだそうして 先生いっしょ方角泳いで 行った 二丁 ほど 出ると、 先生後ろ振り返って 話し掛けた広い 蒼い 表面浮いている ものは、その 近所私ら 二人 より になかった。 そうして 強い 太陽が、 届く 限り とを 照らしていた。 自由歓喜充ちた 筋肉動かして 踊り狂った 先生 また ぱたり手足運動已めて 仰向けになった まま 寝たもその 真似をした。 青空ぎらぎら射る ように 痛烈投げ付けた。「 愉快ですね」と 大きな 声を出した

 しばらくして 起き上がる ように 姿勢改めた 先生は、「 もう 帰りませんか」と いって 促した比較的 強い 体質もった は、 もっと 遊んでいたかった。 しかし 先生 から 誘われた すぐええ 帰りましょう」と 快く 答えたそうして 二人 また 浜辺引き返した

 これから 先生懇意なったしかし 先生どこいるかは まだ 知らなかった

 それから 二日 おいて ちょうど 三日目午後だったと 思う先生掛茶屋出会った 先生突然 向かって、「まだ 大分 長くここに いる つもりですか」と 聞いた考えのない こういう 問い答える だけ用意蓄えていなかった。 それでどうだ分りません」と 答えたしかし にやにや 笑っている 先生見た 急に 極まりが悪くなった。 「先生は?」と 聞き返さ ずにいられなかった。 これが出た 先生いう 言葉始まり である

 はその 先生宿尋ねた宿 といっても 普通旅館違って広い 境内にある 別荘ような 建物 であった。 そこに住んでいる 先生家族でない 解った先生 先生呼び掛けるので、 先生苦笑いをした。 はそれが 年長者対する 口癖だと いって 弁解したこの間西洋人聞いてみた先生 変りところや、 もう 鎌倉いない や、 色々をした 日本人 さえ あまり 交際もたないのに、 そういう 外国人近付きになるのは 不思議だと いったりした。 最後先生向かってどこか先生見た ように 思う けれどもどうしても 思い出せない いった若い その時 暗に 相手同じ よう感じ持って いはしまいかと 疑ったそうして 腹の中先生返事予期してかかったところが 先生しばらく 沈吟した あとで、「 どうも には 見覚えがありませんね。 人違いじゃないですか」と いったので 変に 一種失望感じた