ZIP ドライブ

Feb.,23,1998
PCを使い続けていると、ハードディスクの容量が必ず不足して、外部記憶装置として、バックアップ用のデバイスが必要になってきます。現在日本では、光磁気ディスクドライブ(通称MO)が主流とされているようです。当初はディスクあたり128MBだった単位容量も、最近では230MB、650MBと増えてきて、日本のユーザは、アクセスの速度も考慮した上でこれを選択していると思われます。
流れてくる情報では、これから、DVD RAM ドライブはGB単位でバックアップできるようになるそうですし、容量や、価格の点ではユーザにとっては快適な環境が用意されてきています。

さて、USAでの事情を見ると、MOというのは全く考慮されていません。PCのショップにいくと必ず並んでいるのが、ZIP ドライブです。大抵は、プリンタポートにつないで使いますが、少し値段の高いSCSIポート兼用のものもあります。
容量は1メディアあたり、100MB以下で、アクセス速度も、格別目立ったものではありません。もちろんSource code をバックアップするなどには支障無いのですが、最近では、アプリケーションで100MBを超えるものもありますので、大容量バックアップというには少し不足です。なぜ、アメリカ人はZIPを使いそれに満足しているのでしょうか。昨日、その答えが分かったような気がしました。以下に書く話題は、合理性という問題も私に教えてくれた貴重な体験でした。

昨日夕方、Bostonに長期滞在している日本人学生のN君から電子メールが送られてきました。それによると、彼のLaptopのOS(Windows95)が壊れてしまったということなのです。どうやら、パーティションを切り直した時に内容が全て失われたようです。ところが、これを復旧することが彼の環境では不可能なので助けて欲しいというmailです。システムが壊れたという経験は、Windows95では2、3回しかないので、完全に自信があったわけではないのですが、とにかく大学に来るようにemailの返事を書いて(私のオフィスの電話番号もPCの中にしかなくて読みだせなかったそうです)、対策を、同室のTさんに相談しました。幸い、TさんはWin95のInstall用 CD-ROMを持っていて、それを借りてインストールすれば済むというところまではわかりました。(本来は違法ですが、壊れたWindows95の代替として、緊急避難的に利用するのはやむを得ないでしょう)
N君が途方に暮れた顔でやってきてから、さて、どうやって、このCD-ROMをN君のLaptopに読ませるかを考えはじめました。そのLaptopは、CD-ROMが標準で装備されていなかったため、まず、PCMCIAカードの認識-(私の)SCSIカードの認識-(私の)CD-ROMドライブの認識を行わなければいけません。PCMCIAカード認識は、カードサービスとして各社から提供されていますので、Webで探してdownloadしました。ところが、Dos用のドライバを起動フロッピーにこれをコピーしようとしていた時、この3つのドライバを手作業で組み込むのは意外に面倒なことに気付きました。つまり製造各社のWebサイトからDos用のドライバだけ取り出して来て、更に、それをDosのConfigファイルやAutoexecファイルに、間違いなく、正確なオプションをつけて記述しなければなりません。
私のCD-ROMドライブへのハードウェア  は、東芝(本体:PCMCIA)、ラトック(SCSI)、東芝(CD-ROM)なので、これを集めるだけで疲れるなとちょっと気分が暗くなってきました。そこで、ふと、N君が、「ZIPがありますねえ」とつぶやきました。確かに、私のLaptopには、パラレル接続のZIPドライブがいつも接続されていて、バックアップに使っています。なぜZIPを使っているかというのは、純粋に経済的な理由からで、ZIPしかないといったほうがいい状態のショップの状態ですから敢えて他のものは選ばなかったというのがほぼ正しい理由です。そのとき、その部屋にいた全員が同時に、これをInstallに使えばいいのだと気付きました。
どうするかというと、CD-ROMのWin95のディレクトリをまず、ZIPディスクに移します。そして、Dosのフロッピーで起動したN君のLaptopのパラレルポートにZIPをつなぎます。そこで、Dos用のZIP認識用の常駐コマンド,"guest"と入力します。これで、あっさり、DosからZIPが見えてしまいました。あとは、ZIP上のWin95ディレクトリのsetupコマンドを入力するだけです。
あまりあっけなくInstallができることがわかって、あきれてしまいました。大量のinstall用フロッピーディスクで作業することも無く、いくつかのコピーをしただけで作業は完了してしまったわけです。
なるほどZIPというのはこういう時に威力があるのかと感激したのでこのページを書き始めました。

この話題の結論としては、USAでZIPが好まれているのは、経済性からだけではないかもしれない(ZIPのメディアは、1枚$15位で、容量は100MBしかありませんので、128MBのMOメディアに比べても割安とはいえません)、ということと、考えれば何とかなるもんだという2点です。N君の必死の思いが、ZIPをhitしたのかもしれません。

まあ、とりあえず復旧したようでよかった。