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読売新聞87/12/28東京夕刊 科学面 06段

’87科学界の10大ニュース “21世紀担う”技術革新に沸く

◆初のノーベル医学・生理学賞 −−MITの利根川教授が受賞◆

 利根川進・米マサチューセッツ工科大学教授が、十月十二日、抗体の遺伝子の研究により、日本人として初めて一九八七年度のノーベル医学・生理学賞を受賞することが決まった。

 今回の受賞は、同時に、科学技術大国などといわれるわが国のノーベル賞数の少なさをクローズアップさせる結果ともなった。自然科学分野での受賞者は、第一回(一九〇一年)以来の受賞者三百八十四人の一・三%に過ぎず、先進主要国中最低の十二位。利根川教授の研究にしてもすべて欧米でのものだ。

 この理由として、自然科学そのものが西欧社会の歴史的産物であることや、言葉や地理的なハンディキャップ、日本の研究社会での平等主義、終身雇用の弊害などが以前から指摘されている。利根川教授は自らの体験を踏まえて、こうした側面についても大胆に発言、「独創的研究を育てようという意識が低い」などと指摘、反響を呼んだ。