管理解説書

uss バルク入力ファイル

目的

uss bulk コマンドの命令を記述します。

構文

uss バルク入力ファイルには、 uss bulk コマンドの実行時に実行される uss コマンド・インタープリターの命令を記述します。ファイルに uss テンプレート・ファイルを参照する add 命令を組み込む場合には、テンプレート・ファイルも存在していなければなりません。

バルク入力ファイルの命令の要約

バルク入力ファイルには、次の命令を記述することができます。1 つの行に 1 つの命令を記述します。このリストの後で、各命令の構文について詳しく説明します。

add
ユーザー・アカウントを作成します。uss add コマンドと同等です。

delete
ユーザー・アカウントを削除します。uss delete コマンドと同等です。

delvolume
バルク入力ファイルで、この命令の後にある delete 命令で参照されているアカウントのボリュームおよび VLDB 項目を削除します。

exec
コマンドを実行します。

savevolume
バルク入力ファイルで、この命令の後にある delete 命令で参照されているアカウントのボリュームおよび VLDB 項目を保存します。

アカウントを作成する add 命令

add 命令は、ユーザー・アカウントを作成します。バルク入力ファイルの各インスタンスは、コマンド行で発行された uss add コマンドと同じ結果になります。命令のフィールドの順序は、uss add コマンドの引き数の順序と同じですが、いくつかの引き数には対応するフィールドがありません。 uss add コマンドの引き数のように、多くフィールドが、uss テンプレート・ファイルの変数に対応しています。各フィールドについては後で説明します。

命令の構文は次のとおりです。読みやすくするために、ここでは複数行に分けて示しますが、実際のバルク入力ファイルでは、add 命令は 1 行で記述しなければなりません。

   add username[:full_name][:initial_password][:password_expires]
       [:file_server][:partition][:mount_point][:uid][:var1][:var2]
       [:var3][:var4][:var5][:var6][:var7][:var8][:var9][:]
   

フィールドの値を省略する場合には (フィールドがオプションか、あるいはテンプレートに定数が指定されているため)、コロンの間には何も入力しないでください。最後の引き数を指定したら、コロンと改行を入力するか、あるいは改行のみを入力して、行を終了してください。

各フィールドの意味と許容値は、次のとおりです。

username
ユーザーの認証データベースおよび保護データベース項目を指定します。この指定には、: (コロン)、. (ピリオド)、または @ (アットマーク) 文字以外の 8 文字までの英数字を含むことができます。これは、ユーザー名 (ユーザーがログインしたときの名前) になるので、シェル・メタキャラクターを含まず、多くのオペレーティング・システムがユーザー名に設けている制限事項に準拠することをお勧めします。 (通常は、8 文字以内の英小文字にします)。

これは、uss add コマンドの引き数 -user に対応します。テンプレート・ファイルの対応する変数は、$USER です。

full_name
ユーザーの完全名を指定します。名前の中にスペースがあっても、二重引用符 ("") で囲む必要はありません。名前を指定しないと、username フィールドのユーザー名がデフォルトで使用されます。

これは、uss add コマンドの引き数 -realname に対応します。テンプレート・ファイルの対応する変数は、$NAME です。多くのオペレーティング・システムでは、ローカル・パスワード・ファイル (/etc/passwd または同等のファイル) のユーザー項目に完全名を入力するフィールドが用意されています。この変数は、そのフィールドに値を渡すために使用することができます。

initial_password
ユーザーの初期パスワードを指定します。パスワードを処理する AFS コマンドは、仮想的には長さに制限のない文字列を受け入れますが、多くのアプリケーションおよびユーティリティーで使用できる 8 文字以内のパスワードを使用するようにしてください。値を指定しないと、文字列 changeme がデフォルトで使用されます。

これは、uss add コマンドの引き数 -pass に対応します。テンプレート・ファイルで対応する変数はありません。

password_expires
ユーザーのパスワードが変更された場合に、変更後の有効期限を指定します。有効期限までの日数を指定する場合には、1 から 254 までの整数を指定してください。パスワードに有効期限を設定しない場合には、 0 (デフォルト) を指定してください。

パスワードが無効 (有効期限切れ) になると、そのユーザーは認証されません。ただし、kpasswd コマンドを発行してパスワードを変更すると、そのパスワードは変更後 30 日までは保持されます。( これは管理者のみが変更可能です。)

これは、uss add コマンドの引き数 -pwexpires に対応します。テンプレート・ファイルで対応する変数は、$PWEXPIRES です。

file_server
新規ユーザーのボリュームを作成するファイル・サーバー・マシンを指定します。完全修飾されたホスト名 (たとえば、fs1.abc.com) を指定するようにしてください。ボリューム作成時に名前を解決するときにセルのネーム・サービスが使用可能であれば、省略形を使用することができます。

これは、uss add コマンドの引き数 -server に対応します。テンプレート・ファイルで対応する変数は、$SERVER です。

partition
ユーザーのボリュームを作成する区画を指定します。file_server フィールドに指定したファイル・サーバー・マシン上の区画を指定してください。区画は、完全名 (たとえば /vicepa) で指定することも、以下の省略形の 1 つで指定することもできます。

   /vicepa     =     vicepa      =      a      =      0
   /vicepb     =     vicepb      =      b      =      1
   

/vicepz (これのインデックスは 25 です) の後には、以下が続きます。

   /vicepaa    =     vicepaa     =      aa     =      26
   /vicepab    =     vicepab     =      ab     =      27
   

次の値まで、以下同様となります。

   /vicepiv    =     vicepiv     =      iv     =      255
    

これは、uss add コマンドの引き数 -partition に対応します。テンプレート・ファイルで対応する変数は、$PART です。

mount_point
ユーザーのホーム・ディレクトリーの完全パス名を指定します。

これは、uss add コマンドの引き数 -mount に対応します。

テンプレート・ファイルの V 命令にある $MTPT のみがテンプレートで対応する変数になります。V 命令の後のテンプレート命令の $MTPT 変数は、V 命令の mount_point フィールドから値を取得します。したがって、文字列 $MTPT が V 命令の mount_point フィールドに単独で使用されている場合に限り、このコマンド行の引き数の値が、V 命令の後の命令にある $MTPT 変数の値になります。

uid
ユーザーの AFS UID として割り当てる 0 (ゼロ) 以外の正の整数値を指定します。この引き数を省略すると場合、保護サーバーは、max user id カウンターの現在値より大きな値の AFS UID を割り当てます。(カウンターを表示する場合には、pts listmax コマンドを使用してください。) この引き数を指定する場合には、まず、pts examine コマンドを使用して、必要な AFS UID が既存のアカウントで使用されていないか検査してください。既存のアカウントの使用されていると、エラーが発生して、アカウント作成プロセスは終了します。

これは、uss add コマンドの引き数 -uid に対応します。テンプレートで対応する変数は $UID です。

var1var9
テンプレート・ファイルにある $1 から $9 までの各番号変数に値を指定します。番号変数を使用すると、管理者は、 uss コマンド・セットで定義されたセット以外の変数に値を指定することができます。

これは、 uss add コマンドへの引き数 -var に対応します。テンプレートで対応する変数は、$1 から $9 です。

フィールドに値を指定する場合には、先行するフィールドに実際の値を指定してください。空にする場合には、2 つのコロンの間に何も入力しないでください。実際の値がある最後のフィールドの後にコロンを入力することもできますが、これは必要ありません。

アカウントを削除する delete 命令

delete 命令は、システムからユーザー・アカウントを削除します。バルク入力ファイルの各インスタンスは、コマンド行で発行された uss delete コマンドと同じ結果になります。命令のフィールドの順序は、uss delete コマンドの引き数の順序と同じです。

   delete username:mount_point_path[:{ savevolume | delvolume }][:]
   

ここで、

username
保護および認証データベースから削除する項目を指定します。

mount_point_path
ファイル・スペースから削除するユーザーのホーム・ディレクトリーを完全パス名で指定します。デフォルトでは、その位置にマウントされたボリュームもファイル・サーバー・マシンから削除され、その項目もボリューム・ロケーション・データベース (VLDB) からレコードが削除されます。このボリュームを削除しない場合には、命令の 3 番目のフィールドに savevolume 文字列を指定するか、この delete 命令の前に savevolume 命令を指定してください。部分的なパス名を指定すると、現行作業ディレクトリーとの相対位置で解釈されます。

savevolume
ファイル・サーバー上のボリューム、および VLDB の対応する項目を保存します。この値を指定するか、3 番目のフィールドに delvolume を指定してください。バルク入力ファイルで先行する savevolume または delvolume 命令によって設定されるデフォルトに従ってボリュームを処理する場合には、両方の値を省略してください。

delvolume
ファイル・サーバーからボリューム、および VLDB から対応する項目を削除します。この値を指定するか、3 番目のフィールドに savevolume を指定してください。バルク入力ファイルで先行する savevolume または delvolume 命令によって設定されるデフォルトに従ってボリュームを処理する場合には、両方の値を省略してください。

最後の引き数を指定したら、コロンと改行を入力するか、あるいは改行のみを入力して、行を終了してください。

コマンドを実行する exec 命令

exec 命令は、指定されたコマンド (UNIX シェル・スクリプトあるいはコマンド、プログラム、または AFS コマンド) を実行します。 uss コマンド・インタープリターは、AFS およびローカル・ファイル・システムの特権が必要となります。これは、 uss bulk コマンドの発行側の AFS および ローカル ID が必要になります。

命令の構文は次のとおりです。

   exec command
   

デフォルトのボリューム処理を設定する delvolume および savevolume 命令

savevolume および delvolume 命令は、バルク入力ファイルでこれらの後にある delete 命令で参照されたボリュームのデフォルト処理を設定します。これらの構文は次のとおりです。

   savevolume
   delvolume
   

savevolume 命令を使用すると、バルク入力ファイルでこれ以降に delete 命令があっても、ボリュームおよび VLDB 項目が削除されません。delvolume 命令を使用すると、後続の delete 命令でボリュームおよび VLDB 項目が削除されます。この設定を無効にする命令があるまで、この設定は有効になります。このような命令がなければ、バルク・ファイルの最後まで有効になります。

いずれの行もバルク入力ファイルにない場合、デフォルトでは、ボリュームおよび VLDB 項目は削除されます。最初の savevolume 命令の前に delete 命令がある場合には、このデフォルトの設定が適用されます。 delete 命令の 3 番目のフィールド、savevolume または delvolume のいずれかが指定されていれば、このデフォルトは無効になります。

次の例は、add 命令で認証のみのアカウントを作成しています。ユーザーの初期パスワードは、changeme (デフォルト)です。

   add anderson
   

次の例は、add 命令で、テンプレート・ファイルの V 命令を参照しています (これは、テンプレート・ファイルでは単一行でなければなりません)。

   add smith:John Smith:::fs1:a:::::marketing 
   add jones:Pat Jones:::fs3:c:::::finance
   V user.$USER $SERVER.abc.com /vicep$PART 2000 \
       /afs/abc.com/usr/$3/$USER $UID $USER all
   

最初の add 命令により、初期パスワード changeme と保護サーバーによって提供された $UID に値を持つ smith というアカウントを、保護データベースおよび認証データベースに作成しています。ボリューム user.smith は、ファイル・サーバー・マシン fs1.abc.com の区画 /vicepa にあり、 /afs/abc.com/usr/marketing/smith にマウントされます。このアカウントには自分のホーム・ディレクトリーがあり、そのルート・ディレクトリーのアクセス制御リスト (ACL) ですべてのアクセス権が許可されています。 jones のアカウントも同様ですが、このボリュームはファイル・サーバー・マシン fs3.abc.com の区画 /vicepc にあり、/afs/abc.com/usr/finance/jones にマウントされます。

ボリュームのマウント・ポイント、UID、$1 変数、および $2 変数に対応するフィールド(サンプルの先頭行の amarketing の間) は空になっています。これは、対応する変数がテンプレート・ファイルにないためです。初期パスワードのフィールドも空になっています。

次の add 命令は前の例と同じ結果になりますが、値のない番号変数に空のフィールドを明示的に指定しています。

   add smith:John Smith:::fs1:a:::::marketing::::::
   add jones:Pat Jones:::fs3:c:::::finance::::::
   

次の例は、delete 命令と savevolume 命令のセットがある完全なバルク入力ファイルの例です。ユーザー smithpat、および rogers に対する delete 命令が savevolume 命令の前にあり、3 番目のフィールドがすべて空になっているので、該当するホーム・ボリュームは削除されます。 savevolume 命令で設定されたデフォルトが適用されるので、ユーザー terry のボリュームは保存されますが、ユーザー johnson のボリュームは、その delete 命令の 3 番目のフィールドで現在のデフォルトが無効になるので、削除されます。

   delete smith:/afs/abc.com/usr/smith
   delete pat:/afs/abc.com/usr/pat
   delete rogers:/afs/abc.com/usr/rogers
   savevolume
   delete terry:/afs/abc.com/usr/terry
   delete johnson:/afs/abc.com/usr/johnson:delvolume
   

次の例は、add 命令と delete 命令の間に exec 命令があるバルク入力ファイルの例です。追加操作が完了し、削除操作が開始すると、uss bulk コマンドが発行された コマンド・シェルに次のメッセージが表示されます。

   exec echo "Additions completed; beginning deletions..."
   

関連情報

uss テンプレート・ファイル

uss add

uss bulk

uss delete


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