管理解説書
目的
読み取り / 書き込みソース・ボリュームと一致するように、読み取り専用ボリュームの内容を更新します。
構文
vos release -id <volume name or ID> [-f] [-cell <cell name>]
[-noauth] [-localauth] [-verbose] [-help]
vos rel -i <volume name or ID> [-f] [-c <cell name>] [-n] [-l] [-v] [-h]
構文
vos release コマンドは、ソース・ボリュームのボリューム・ロケーション・データベース (VLDB) 項目で定義された各読み取り専用サイトに、指示された読み取り / 書き込みソース・ボリュームの内容をコピーします。
(このコマンドを発行する前に、必要であれば、vos addsite コマンドを使用して、サイトを定義します)。各読み取り専用コピーは、読み取り / 書き込みソースと同じ名前に拡張子 .readonly を付加したものです。
ユーザーがファイル・システムで整合性の取れたビューを持つには、新規ボリューム・バージョンのリリースはアトミックでなければなりません。すべての読み取り専用サイトで新規バージョンを受け取るか、すべてのサイトが現在のバージョンを維持するかのいずれかです。
vos release コマンドは、ボリュームの読み取り / 書き込みバージョンのすべてコピーが、読み取り / 書き込みソースとお互いに一致するように、設計されています。マシンまたはサーバー・プロセスの障害などの問題により、解放操作が正常終了できない場合は、
AFS は 2 つのメカニズムを使用して、管理者を変更します。
まず、コマンド・インタープリターは、標準エラー・ストリームでエラー・メッセージを生成して、新規ボリューム・バージョンを受け取らなかった読み取り専用サイトごとに名前を付けます。次に、解放操作中に、ボリューム・ロケーション (VL) サーバーは、そのサイトに新規ボリューム・バージョンがあるかどうかを示すフラグ (New release および Old release) により、
VLDB 項目のサイト定義にマークを付けます。操作完了後もいずれかのフラグがそのままになっていれば、操作は失敗です。キャッシュ・マネージャーは、
Old release フラグでマークされた読み取り専用サイトへのアクセスを拒否します。このため、New release フラグでマークされたサイトの負荷がさらに大きくなる可能性があります。障害の原因を調査して除去した後、必要な回数だけ、
vos release コマンドを発行して、エラーなしで解放を完了することが大切です。
失敗した解放操作の後、ボリュームの VLDB 項目に残っているサイト・フラグのパターンは、操作が失敗したポイントの判別に役立てることができます。
vos examine または vos listvldb コマンドを表示して、
VLDB 項目を表示します。
VL サーバーは、ボリューム・サーバーの操作に合わせて、以下のようにフラグを設定します。
- オペレーションの開始前に、
VL サーバーは、VLDB 項目の読み取り / 書き込みサイト定義に New release フラグを、読み取り専用サイト定義に Old release フラグを設定します (最後の解放操作以降に読み取り専用サイトが定義されているのに、実際にはボリュームがない、ということがない限り。この場合、サイト・フラグは Not released のままです)。
- 必要であれば、ボリューム・サーバーは、
ReleaseClone と呼ばれる読み取り / 書き込みソースの一時コピー (複製 ) を作成します (ボリューム・サーバーが新規 ReleaseClone を作成する、またはしないタイミングについては、以下の説明を参照してください)。これは、ReleaseClone にそれ自身のボリューム ID 番号を割り当てます。
VL サーバーは、これをソース・ボリュームの VLDB 項目の RClone フィールドに記録します。
- ボリューム・サーバーは、VLDB 項目に定義された各読み取り専用サイトに ReleaseClone のコピーを配布します。サイトが新規複製の受け取りに成功すると、
VL サーバーは、VLDB 項目のサイトのフラグを New release に設定します。
- すべての読み取り専用コピーの解放が成功すると、
VL サーバーは、すべての New release サイト・フラグをクリアします。
ReleaseClone が必要でなくなると、ボリューム・サーバーはそれを削除し、VL サーバーは VLDB 項目からその ID を消去します。
デフォルトでは、ボリューム・サーバーは、以下のように、新規 ReleaseClone を作成する必要があるかどうかを自動的に判別します。
- VLDB 項目のサイト定義にフラグ (New release、Old release、または Not released) が設定されていない場合、直前の vos release コマンドは、正常終了していて、すべての読み取り専用サイトは、現在、同じボリュームになっています。ボリューム・サーバーは、現行 vos release コマンドが、読み取り / 書き込みボリュームに変更があったために発行されたことを意味します。ボリューム・サーバーは、新規 ReleaseClone を作成して、それをすべての読み取り専用サイトに配布します。
- VLDB 項目の任意のサイト定義がフラグでマークされている場合、直前の解放操作は正常終了していないか、最後の解放以降に新規読み取り専用サイトが定義されています。ボリューム・サーバーは、新規 ReleaseClone を作成しないで、その代わりに、既存の ReleaseClone を Old release または Not released フラグでマークされているサイトに配布します。前述のように、VL サーバーは、サイトが ReleaseClone を受け取る際に、各 VLDB サイト定義の New release フラグをマークして、すべてのサイトがそれを受け取るのに成功した後、すべてのフラグをクリアします。
ボリューム・サーバーに、新規 ReleaseClone を作成させ、読み取り専用サイトに解放させて、デフォルトの振る舞いを上書きするには、
-f フラグを組み込みます。これが該当するのは、たとえば、直前の解放操作中に既存の ReleaseClone が作成されて以降、読み取り / 書き込みサイトのデータに変更があった場合などです。
オプション
- -id
- 読み取り / 書き込みボリュームの完全名またはボリューム ID 番号のいずれかを指定します。
- -f
- VLDB 項目の任意のサイト定義がフラグによりマークされているかどうかに関係なく、新規 ReleaseClone を作成して、それをすべての読み取り専用サイトに配布します。
- -cell
- コマンドを実行するセルを指定します。この引き数は、
-localauth フラグと一緒に使用してはなりません。詳細については、vos の解説ページを参照してください。
- -noauth
- コマンドの発行側に非特権 ID anonymous を割り当てます。このフラグは -localauth フラグと一緒に使用してはなりません。詳細については、vos の解説ページを参照してください。
- -localauth
- ローカルの /usr/afs/etc/KeyFile ファイルのキーを使用して、サーバー・チケットを構成します。相互認証の間、vos コマンド・インタープリターは、ボリューム・サーバーおよびボリューム・ロケーション・サーバーに、このチケットを提供します。このフラグは、-cell 引き数、または -noauth フラグと一緒に使用してはなりません。詳細については、vos の解説ページを参照してください。
- -verbose
- 標準出力ストリームに、コマンド実行の詳細なトレースを出力します。この引き数を省略すると、警告およびエラー・メッセージだけが表示されます。
- -help
- このコマンドのオンライン・ヘルプを出力します。これ以外の有効なオプションはすべて無視されます。
例
次のコマンドは、読み取り / 書き込みボリューム usr の複製を作成し、
VLDB 項目に定義されている読み取り専用サイトに解放します。
% vos release usr
必要となる特権
コマンドの発行側は、-server 引き数に指定されたマシン、および各データベース・サーバー・マシン上の /usr/afs/etc/UserList ファイルにリストされていなければなりません。-localauth フラグを使用する場合には、コマンドの発行側が、ローカル・スーパーユーザー root として、サーバー・マシンにログオンする必要があります。
関連情報
vos
vos addsite
vos examine
vos listvldb
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