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利根川教授にノーベル賞

 今年度のノーベル医学・生理学賞に10月12日、利根川進・米マサチューセッツ工科大学教授(48)が決定した。受賞理由は「多様な抗体が作られる遺伝的原理」の解明。人間の体には外から病原菌など(抗原)が侵入すると、それをうまく取り込み有害な作用を阻止する特殊タンパク(抗体)を作り出す力があるが、その過程で遺伝子がダイナミックに動くという驚くべき現象を発見したこと、などの業績が評価された。日本人のノーベル賞受賞者はこれで7人目だが、医学・生理学賞は初めて。

 利根川さんは昭和38年、京都大学理学部卒。同年アメリカに渡り、56年からマサチューセッツ工科大教授を務めている。59年には文化勲章を受章した。

 利根川さんは「負けん気が強く、まっしぐらな性格」として知られ、協調第一的な日本の研究風土に合わず、海外に出て、大輪の花を咲かせた。48年にノーベル物理学賞を受賞し現在もアメリカで活躍中の江崎玲於奈博士をはじめ、“頭脳の海外流出”が騒がれる中、改めて日本の研究風土のあり方が問われた受賞だった。

 ◇掲載記事
 87/10/13 ノーベル医学・生理学賞、利根川・マサチューセッツ工科大教授に 日本人7人目