管理解説書

fstrace dump

目的

トレース・ログをダンプします。

構文

fstrace dump [-set <set_name>+]  [-follow <log_name>]  
             [-file <output_filename>]  
             [-sleep <seconds_between_reads>]  [-help]
   
fstrace d [-se <set_name>+]  [-fo <log_name>]  [-fi <output_filename>] 
          [-sl <seconds_between_reads>]  [-h]

構文

fstrace dump コマンドは、標準出力ストリーム上の cmfx トレース・ログの現在の内容を表示するか、または、-file 引き数で指定された名前のファイルに書き込みます。

標準出力またはファイルへ連続して書き込むには、 -follow 引き数を使用します。デフォルトでは、ログの内容は 10 秒ごとに書き出されてから自動的に消去されます。書き込み間隔を変更するには、-sleep 引き数を使用します。

注意

このコマンドは、活動状態の cm イベント設定のみの出力を生成します。イベント設定の状態を表示または設定するには、それぞれ fstrace lsset または fstrace setset コマンドを使用します。

このコマンドからの最大読み込み可能な出力を作成するには、 afszcm.cat と呼ばれるメッセージ・カタログ・ファイルがローカルの /usr/vice/etc/C ディレクトリーに常駐していなければなりません。もし必要ならば、トレースを活動化する前に AFS バイナリー分散からファイルをディレクトリーにコピーします。

cm イベント設定が活動状態の時、定義された総カーネル・メモリー (デフォルトでは、60 KB) は、 cmfx トレース・ログのために割り振られます。概要の fstrace 参照ページで説明しているとおり、バッファーがいっぱいになると、メッセージが上書きされます(新しいメッセージが古いメッセージを上書きします)。ログのためのカーネル・メモリーの割り振りを増やすには、fstrace setlog コマンドを使用します。現在のログ・バッファーのサイズを表示するには、fstrace lslog コマンドに -long 引き数を付けて使用します。

オプション

-set
書き出したい関連するトレース・ログのイベント設定の名前を指定します。唯一の許容値は、(関連したトレース・ログが cmfx のための) cm です。この引き数か -log 引き数のどちらか 1 つを指定するか、デフォルトとして cmfx ログへ書き出すために両方を省略します。

-follow
指定された間隔で連続して書き出すトレース・ログの名前を指定します (デフォルトでは、毎 10 秒ごとです。間隔を変更するには -sleep 引き数を使用します)。各書き込み操作の後に、ログは消去されます。

唯一の許容値は、 cmfx です。この引き数か -set 引き数のどちらか 1 つを指定するか、デフォルトとして cmfx ログへ書き出すために両方を省略します。

-file
トレース・ログの内容を書き込むファイルのパス名を指定します。 AFS またはローカル・ディスク上にあるパス名を使用できます。部分的なパス名を指定すると、現行作業ディレクトリーとの相対位置で解釈されます。この引き数を省略すると、トレース・ログは標準出力に表示されます。

-sleep
連続してダンプされるトレース・ログの内容の書き込み秒間を設定します。この値といっしょに -follow 引き数を与えます。この引き数を省略すると、デフォルトのインターバルは 10 秒です。

-help
このコマンドのオンライン・ヘルプを出力します。これ以外の有効なオプションはすべて無視されます。

出力

出力は、指定したデータおよび書き込み操作が開始された時間のヘッダーを付けて開始します。-follow 引き数が組み込まれない場合、ヘッダーは、ダンプされたログの数もレポートします。これは、 cmfx トレース・ログのみがある時から常に、 1です。ヘッダーの形式は、以下のようになります。

   AFS Trace Dump -
     Date: starting_timestamp
   Found 1 logs.
   Contents of log cmfx:
   

以下の各メッセージは、以下の形式のキャッシュ・マネージャー・オペレーションを説明します。

   time timestamp, pid pid:event_message
   

ここで、

timestamp
キャッシュ・マネージャーがオペレーションを実行された時間を、ダンプ開始からの秒数として指定します。

pid
処理またはメッセージに関連したスレッドのプロセス IDを指定します。

event_message
メッセージそのものです。これは通常、AFS ソース・コードで慣れた方にのみ分かりやすいものです。

加えて、毎 1024 秒ごとに fstrace コマンド・インタープリターは現在のクロック時刻をレコードしたメッセージを以下の形式で書き込みます。

time timestamp, pid pid: Current time: unix_time
   

ここで、

timestamp
ログのトレース開始からの秒数です。

pid
プロセス ID 番号です。

unix_time
マシンのクロック時刻で、 UNIX の標準時刻形式として 1970 年 1 月 1 日の午前 0 時からの秒数で表します。

各ログ・メッセージに関連した実際のクロック時刻を判別するためにこのメッセージを使用します。実際の時刻の判別は、以下のようになります。

  1. 関心のあるメッセージを配置します。
  2. 最新の時刻メッセージのトレース・ファイルを逆方向から通して検索します。
  3. 現在の時間メッセージの timestamp が ログ・メッセージの timestamp より小さい場合、最新から前者を減算します。現在の時間メッセージの timestamp が ログ・メッセージの timestamp より大きい場合、1024 を最新に加算して結果から前者を減算します。
  4. ログ・メッセージの実時間を判別するための現在の時間メッセージの unix_time へ結果値を加算します。

カーネル・トレース・バッファーにある任意のデータがトレースが活動開始されてから上書きされた場合、以下のメッセージが、出力の適切な位置に表示されます。

Log wrapped; data missing.
   

上書きの可能性を削減するには、カーネル・バッファーのバッファーを増加するために fstrace setlog コマンドを使用します。現在の定義されたバッファー・サイズを表示するには、 fstrace lslog コマンドに -long 引き数を付けて使用します。

以下のログ・ダンプの最後のメッセージは、作業が完了されたことを指示しています。

AFS Trace Dump - Completed
   

以下のコマンドは、関連した cm イベント設定のログを標準出力へダンプします。

   # fstrace dump -set cm
   AFS Trace Dump -
      Date: Tue Apr  7 10:54:57 1998
   Found 1 logs.
   time 32.965783, pid 0: Tue Apr  7 10:45:52 1998
   time 32.965783, pid 33657: Close 0x5c39ed8 flags 0x20
   time 32.965897, pid 33657: Gn_close vp 0x5c39ed8 flags 0x20 (returns 0x0)
   time 35.159854, pid 10891: Breaking callback for 5bd95e4 states 1024 (volume 0)
   time 35.407081, pid 10891: Breaking callback for 5c0fadc states 1024 (volume 0)
                                    .
                                    .
                                    .
   time 71.440456, pid 33658: Lookup adp 0x5bbdcf0 name g3oCKs \
        fid (756 4fb7e:588d240.2ff978a8.6)
   time 71.440569, pid 33658: Returning code 2 from 19
   time 71.440619, pid 33658: Gn_lookup vp 0x5bbdcf0 name g3oCKs (returns 0x2)
   time 71.464989, pid 38267: Gn_open vp 0x5bbd000 flags 0x0 (returns 0x0)
   AFS Trace Dump - Completed
   

以下のコマンドは、ダンプ成功の間 10 秒のデフォルト間隔を使用して、ローカル・マシン上の cm イベント設定に関連したトレース・ログをファイル cmfx.dump.file.1 へダンプします。

   # fstrace dump -follow cmfx -file cmfx.dump.file.1
   

必要となる特権

コマンドの発行者は、ローカル・スーパーユーザー root としてログインする必要があります。

関連情報

afszcm.cat

fstrace

fstrace lslog

fstrace setlog

fstrace lsset


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