ア ン ケ ー ト 結 果
書き言葉の宿題が全て終了した時点で、オンラインのアンケートを実施し、学習者からの評価を得ました。より率直な意見が得られるよう、回答への記名は自由としました。 対象となったのは、パイロットを行った2012年春学期(上級後半)13名、2012年秋学期(上級前半)24名、2013年秋学期(上級前半)25名、2014年秋学期(上級前半)17名の計79名で、そのうち、回答のあった56名のデータを集計してあります。

指 導 法 の 評 価

ま と め
「書き言葉は、まるで新しい言語のようだ」というコメントが寄せられるほど、書き言葉は未知のものだと感じる学習者も少なくないようです。ということは、学習者の日本語能力の差が大きくなりがちな中級以降のレベルで、「書き言葉」はどの学習者も同じスタートラインに立って習得に臨める数少ない機会なのかもしれません。
学習者の作文から次第に口語表現が消え、書く内容に見合った文体になっていく過程を見るのは教える側にとっても大変励みになります。しかし、単語や漢字同様、一度習得した書き言葉の使い方も、その後使うことがなければ忘れてしまいます。従って、一学期でやりっぱなしではなく、次の学期でも繰り返し強化していくことが重要だと思われます。また反対に、上級への円滑な移行のために、中級での下地作りもしっかりしておく必要があるでしょう。普段から終助詞や短縮形など、話し言葉と書き言葉の区別を意識させるように指導し、中級では単文ばかりではなくまとまった文章や段落を、接続詞を使って書く練習をしておくと、上級になった時のギャップも小さくなり、書き言葉の導入に圧倒されることもなくなり効果的でしょう。
その意味でも、初級から上級までの各段階で確実に書く力を積み上げていけるような、カリキュラム全体を視野に入れた総合シラバスを作ることが大切で、今後の課題のひとつとして、取り組んでいきたいと思っております。
宿題や作文:終助詞書く学習者多い。「楽しいですね。」指導必要。