管理解説書

backup

目的

backup コマンド・セットの概要

構文

backup コマンド・セットのコマンドは、 AFS バックアップ・システムの管理インターフェースです。このセットのコマンドには、いくつかの種類があります。

backup コマンド・インタープリターは、次の 2 つのプロセスとも対話を行います。

標準のコマンド行インターフェース以外に、 backup コマンド・セットでは、 対話的な インターフェースが用意されています。ここでは使用できる機能については、 backup (interactive) 参照ページを参照してください。このコマンド・セットの中で対話モードで使用できるのは、 (backup) jobs(backup) kill、および (backup) quit の 3 つだけです。

オプション

backup セットの多くのコマンドでは、以下のオプションを使用することができます。各コマンドの解説ページにも説明はありますが、ここでは詳しく説明します。

-cell <cell name>
コマンドを実行するセルの名前を示します。ローカル・マシン上の /usr/vice/etc/CellServDB ファイルにある他の項目と区別できる場合には、セル名の省略形を使用することができます。 -cell 引き数が省略されると、コマンド・インタープリターは、次の内容を順に読み込み、ローカル・セルの名前を判別します。

  1. AFSCELL 環境変数値
  2. ローカル /usr/vice/etc/ThisCell ファイル

-cell-localauth オプションは一緒に使用しないでください。 -localauth フラグを指定したコマンドは、 (サーバー・マシンのローカル /usr/afs/etc/ThisCell ファイルで定義されているように) ローカル・セル内で実行されますが、 -cell 引き数を指定したコマンドは、指定した外部セルで実行されます。

-cell 引き数は、対話モードのコマンドでは使用できません。 backup コマンド・インタープリターが対話モードを入力するときに定義されたセルは、対話式セッション中に出されたすべてのコマンドに適用されます。

-help
標準出力ストリームにコマンドのオンライン・ヘルプ・メッセージを出力します。このフラグは、コマンドの他のオプションと一緒に使用してはなりません。このフラグを使用すると、コマンド・インタープリターは、他のすべての引き数およびフラグを無視し、ヘルプ・メッセージの出力だけを行います。

-localauth
ローカルの /usr/afs/etc/KeyFile ファイルの中で最も高いキー・バージョン番号を持つサーバー暗号化キーを使用して、サーバー・チケットを構成します。相互認証の間、backup コマンド・インタープリターは、バックアップ・サーバー、ボリューム・サーバーおよび ボリューム・ロケーション (VL) サーバ ーにこのチケットを提供します。

このフラグは、サーバー・マシンにコマンドを出す場合にのみ使用します。クライアント・マシンには、通常 /usr/afs/etc/KeyFile ファイルがありません。このフラグを使用するコマンドの発行者は、サーバー・マシンにローカル・スーパーユーザー root としてログオンしている必要があります。このフラグは、UNIX cron ユーティリティー、またはマシンの /usr/afs/local/BosConfig ファイル内の cron 項目によって制御されたプロセスなどの、非在席アプリケーション・プログラムによって呼び出されたコマンドの場合に役立ちます。また、管理者が ローカル・スーパーユーザー root としてログインしても AFS に認証されない場合にも有効です。

-cell-localauth オプションは一緒に使用しないでください。 -localauth フラグを指定したコマンドは、 (サーバー・マシンのローカル /usr/afs/etc/ThisCell ファイルで定義されているように) ローカル・セル内で実行されますが、 -cell 引き数を指定したコマンドは、指定した外部セルで実行されます。

-localauth 引き数は、対話モードのコマンドでは使用できません。 backup コマンド・インタープリターが、対話モードの入力に使用するローカル識別および AFS トークンは、対話式セッション中に出されたすべてのコマンドに適用されます。

-portoffset <TC port offset>
backup コマンドが実行されるテープ・コーディネーターのポート・オフセット番号を指定します。ポート・オフセット番号によって、テープ・コーディネーター (butc) プロセスと磁気テープ装置またはバックアップ・データ・ファイルの組み合わせが一意的に決まります。

backup コマンド・インタープリターとテープ・コーディネーター・プロセスは、 UDP ソケットまたはポートを介して通信を行います。磁気テープの読み取りまたは書き込みを行う backup コマンドを発行する前に、バックアップ操作員は、該当する磁気テープ装置を制御し、そのポート番号に送信される要求を listen する butc プロセスを開始しなければなりません。バックアップ・システム・マシンに複数の磁気テープ装置が接続されている場合には、各装置に固有の butc プロセスとポート・オフセット番号が割り当てられるので、同時にバックアップ操作を行うことができます。

バックアップ・システムは、磁気テープの容量とファイル・マーク・サイズとそれぞれのポート・オフセットを関連付けます (tapeconfig ファイルに定義されます)。磁気テープ装置が圧縮されていると、圧縮モードと非圧縮モードでは容量とファイル・マークの値が異なるため、 2 つのポートで別々のポート・オフセット番号が割り当てられます。

バックアップ・データベースは、最大 58,511 までのポート・オフセットを格納することができます。したがって、この引き数で使用できるのは、 0 から 58510 までの整数です。発行者でこの引き数を省略すると、デフォルトの 0 が使用されます。 (ポート・オフセットが 58,511 に制限されるのは、 UDP ソケット番号が 16 ビットの整数で識別され、バックアップ・システムの使用するソケット番号で最も小さい値が 7025 のためです。 16 ビットの整数で表現できる最大値は 65,535 です。そこから 7,025 を引くと、58,510 になります。ポート・オフセット 0 (ゼロ) を追加すると、最大値 58,511 まで増加します。)

セルの場合には、最大 58,511 までのポート・オフセット番号が定義可能ですが、次の制限のため、58,511 台の磁気テープ装置を同時に実行することはできません。

バックアップ・システムは UDP ソケットを予約しません。プロセスを開始しようとしたときに、別のアプリケーションでテープ・コーディネーターのソケットが使用されていると、 butc プロセスを失敗し、次のエラー・メッセージがシェル・プロンプトに表示されます。

   bind: アドレスはすでに使用されています
   rxi_GetUDPSocket: バインドは失敗しました
   

必要となる特権

backup コマンドを使用して、バックアップ・データベースにアクセスする場合には、バックアップ・サーバーの稼動している各マシンの /usr/afs/etc/UserList ファイルに、コマンドの発行者がリストされていなければなりません。 backup コマンドでボリューム・データにアクセスする場合には、バックアップ・サーバー・マシン、ボリューム・ロケーション (VL) サーバー・マシン、関連するボリュームを管理するファイル・サーバー・マシンのそれぞれにある UserList ファイルに、発行者が定義されていなければなりません。通常、共通の UserList ファイルは、セル内のデータベース・サーバーおよびファイル・サーバー・マシンにすべて配布されています。このタイプの特権についての詳細は、AFS 管理の手引き で特権ユーザーの章を参照してください。

-localauth フラグを使用する場合、ユーザーは、ローカル・スーパーユーザー root として、 backup コマンドを発行するサーバー・マシンにログオンする必要があります。

関連情報

BosConfig

CFG_device_name

CellServDB (クライアント・バージョン)

KeyFile

ThisCell (クライアント・バージョン)

ThisCell (サーバー・バージョン)

UserList

tapeconfig

backup adddump

backup addhost

backup addvolentry

backup addvolset

backup dbverify

backup deldump

backup deletedump

backup delhost

backup delvolentry

backup delvolset

backup diskrestore

backup dump

backup dumpinfo

backup help

backup interactive

backup jobs

backup kill

backup labeltape

backup listdumps

backup listhosts

backup listvolsets

backup quit

backup readlabel

backup restoredb

backup savedb

backup scantape

backup setexp

backup status

backup volinfo

backup volrestore

backup volsetrestore

buserver

butc


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